過敏性腸症候群の診断:事務局便り#2

  1. 過敏性腸症候群の診断方法
  2. アラームサイン
  3. Rome(ローマ)基準

*動画とブログの中身は同じです。

1.過敏性腸症候群の診断方法

過敏性腸症候群は第1回で説明したように、一般的な採血や画像検査で異常が見つからない、機能性とよばれる病気です。

機能性の病気と診断するためには、同じような症状を起すほかの病気がないことを確認する必要があります。

このような診断方法を除外診断と呼びます。

上図を簡単に説明すると、器質性の病気を強く疑うアラームサインがなく、一般的な検査で明らかな異常がない場合に、Rome(ローマ)基準と呼ばれる診断基準を満たせば、過敏性腸症候群と診断される形となります。

なお、アラームサインとRome(ローマ)基準はあとで説明します。

ただし、第1回でも触れたように、検査で異常が見つかりやすい器質性の病気も、最初は検査で分かりにくいことがあります。

このため、一旦診断をつけて治療を行い、それでも症状が改善しない場合や後日アラームサインが見られた場合は、再度この図の途中から診断をやり直す形となります。

  

2.アラームサイン

アラームサインは発熱や血便、体重減少など潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患といった器質性の病気や、膠原病などの内科の病気で出やすい症状です。

特に、50歳以上で初めて過敏性腸症候群の症状が出現した場合などはがんなども疑う必要があります。

繰り返しになりますが、アラームサインが一つでもある場合は、内視鏡や採血、画像検査などで詳しく調べることがおすすめです。

  

3.Rome(ローマ)基準-過敏性腸症候群

過敏性腸症候群の診断基準であるローマ基準は、10年ごとに改定されており、2024年現在の最新版はRome IVです。

この基準では、症状が6カ月以上続き、直近3カ月で週に1回以上の腹痛がある場合に、排便と症状が関連している、排便頻度の変化を伴う、便の形状変化を伴うことのうち、少なくとも2つの症状があれば、過敏性腸症候群と診断されます。

次回の改訂は、2026年が予定されています。

ただし、日本ではまだRome IIIの基準が主に使われています。この、ローマ基準の違いによる診断および、患者数の変化については、次回説明していきたいと思います。



イラスト:イラストAC-カフェラテさんのイラストを使って菊池が作成

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