- ガス症状と周辺症状
- 治療介入の必要性
- 鑑別*すべき病気
*鑑別:複数の可能性を絞り込んで正確な診断を行うこと
*動画とブログの中身は同じです。
本日の内容は、ガス症状の続きについてです。
最初に、ガス失禁も含めたガス症状と、その周辺症状について簡単に説明します。
それから、治療介入の必要性と、鑑別すべき病気についても簡単に触れたいと思います。
ガス症状には、おならが出てしまうといったガス失禁のほかに、ガスが溜まることによるお腹の張りなどの症状もあります。
また、匂いやお腹の音などの周りの人が気づく症状を伴うこともよくあります。
おならやお腹の音は自然な体の動きの結果であり、病気とは言えません。
同じように、人前でおならやお腹の音が出てしまうことを、恥ずかしいと感じたり、周りの人の反応を気にして不安になることも普通のことです。
しかし、こうした症状が頻繁に起こったり、不安などが強くなって日常生活に影響が出るようになった場合は、過敏性腸症候群やほかの病気の可能性を考える必要があります。
先ほど述べたように、ガスが出ることで匂いや音が気になって恥ずかしく感じたり、不安になったりすることは誰にでも起こり得ますが、その感じ方には幅があります。
たとえば、少し気になるだけで生活には問題ない場合もあれば、学校や仕事、日常生活に大きな影響が出てしまう場合もあります。
この感じ方の幅は「グラデーション」となっています。
グラデーションと表現したのは、「正常」と「病気」の境界がはっきりしていないためです。
ここでいう「病気」とは、日常生活に支障が出ていて治療が必要な状態のことを指しています。
たとえば、症状があっても完全に家で仕事や勉強をしていて生活に問題がない場合は、すぐには治療が必要ないこともあります。
しかし、症状が軽くても本人や周りの人の生活に影響が出ているなら、治療が必要となります。特に子どもの場合、学校で席を自由に移動できないことが多く、先生や友達に自分の状態をうまく説明することもできません。
そのため、大人が思う以上に苦痛を感じてしまい、気持ちが落ち込んだり、不安のために学校に行きたくなくなったりすることがあるため、適切に対応することが大切です。
とくにガス症状でも、おなかの張りや痛みといった体の症状以上に、ガス症状に伴う音や匂いに対する恥ずかしさや不安が大きく、特定の環境が苦手など、生活に影響が出ているようなら、過敏性腸症候群以外の病気も考える必要があります。
たとえば、うつ病のほか、おなかの音が気になる腹鳴恐怖や、おならの匂いが気になる自己臭恐怖といった不安症、強迫障害などの精神的な病気の可能性も考える必要があります。
これらの病気がある場合、消化器内科や肛門外科で消化器症状を治療するだけでなく、心の治療も同時に進める必要があります。
薬物治療や心理療法が有効なこともあるので、精神科または心療内科の受診をお勧めします。
次回はガス症状と腸管運動について少し触れたいと思います。
イラスト:イラストAC-カフェラテさんのイラストもしくはそのイラストを使って菊池が作成
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集英社プラス-知の水先案内人で【脳腸相関】の連載をしています。第10回および第11回が、過敏性腸症候群についてです。
過敏性腸症候群すっきりプロジェクト
過敏性腸症候群に対する非薬物治療の臨床試験に関する情報提供のためのサイト
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