- 治療の復習
- 過敏性腸症候群に対する薬物治療と心理療法の脳腸相関との関係
*動画とブログの中身は同じです。
本日の内容は、過敏性腸症候群の治療についてです。
前回の治療の話から時間がたっているので、最初に過敏性腸症候群の治療について簡単におさらいします。
それから、薬を使った治療と心理療法について、脳腸相関の関係とあわせて簡単に説明します。
過敏性腸症候群の治療は、次のように段階を追って行われます。
まず、診断を受けて、病気についての説明を聞き、薬を使わない食事や生活習慣の改善から試みます。
それで症状が良くならなければ、次に消化器の症状に対する薬を使うことを勧められます。
しかし、実際に病院では薬を使う治療から始めることが多いです。
この段階で明らかに症状が良くなったら、その薬を続けるか、減らすか、一度やめて様子を見ることになります。
第一段階の薬の治療がうまくいかない場合、次の段階として、抗うつ薬や抗不安薬といった脳に作用する薬や、簡単な精神療法などが勧められます。
第二段階の治療でも症状が良くならず、心理的なストレスが大きく関わっていると考えられる場合は、心理療法が勧められます。
これらの治療を、脳腸相関の図に沿って説明すると次のようになります。
薬の詳細については専門書(※1)に任せますが、過敏性腸症候群の第一段階の薬は、主に消化器症状である、腹痛や便秘、下痢などに対して行われます。
これらの薬には、下痢や便秘などの症状に関係なく使える薬があります。
例えば、整腸剤や腸の動きを調整する薬、腸の中の水分を調整する薬などです。
また、下痢や便秘の症状に合わせて使う薬もあり、これは個人個人の症状によって使い分ける必要があります。
これらの薬の中には、腸の知覚過敏を改善する成分を含むものもあります。
しかし、これだけでは症状が改善しないときは、次の段階として、抗不安薬や抗うつ薬など脳にも働く薬や、簡単な精神療法などが勧められます。
これらの治療は、脳の神経やホルモンなどの働きに影響し、脳に関連する痛みなどを和らげることを目指しています。それでも症状が改善しないときは、次の段階として、考え方や不安、お腹に対する過度の注意をターゲットにした心理療法を行います。
ただし、図からも分かるように、心理療法では腸の知覚過敏や運動異常は改善しないため、薬と併用することが勧められます。
もちろん、不安やお腹への過度の注意が和らぐことで症状が改善すれば、主治医と相談して薬を減らすことも可能です。
次回は、すっきりプロジェクトにも関係する、心理療法についてもう少し詳しく説明したいと思います。
イラスト:イラストAC-カフェラテさんのイラストもしくはそのイラストを使って菊池が作成
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集英社新書プラス-知の水先案内人で【脳腸相関】の連載をしています。主に第10回および第11回が、過敏性腸症候群についてです。
※1 過敏性腸症候群(IBS) 診療ガイドライン2020 日本消化器病学会
過敏性腸症候群すっきりプロジェクト
過敏性腸症候群に対する非薬物治療の臨床試験に関する情報提供のためのサイト
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