過敏性腸症候群の生活の質と心理療法②:事務局便り#20

  1. 過敏性腸症候群に対する予防策と症状の関係
  2. 予防策を繰り返す影響:食べ物編

*動画とブログの中身は同じです。

本日の内容は、過敏性腸症候群と、生活の質や心理療法との関係の続きです。

まず、過敏性腸症候群に対する予防策と症状について、食べ物を例にして簡単に説明します。

つづいて、予防策を繰り返すことで、生活の質にどのような影響があるのかについても食べ物の例を使ってお話ししたいと思います。

前回、簡単に触れましたが、過敏性腸症候群の症状を予防するために気をつけすぎると、かえって生活が大変になってしまうことがあります。

たとえば、「この食べ物は大丈夫かな?」「トイレはあるかな?」と心配しすぎると、ストレスがたまって体にもっと悪い影響を与えることもあります。

今回は、予防行動に関連した考えや感情がどのように生活の質に影響を与えるかについて、食事を例に挙げて説明します。

Aさんはラーメンがとても好きですが、ラーメンを食べた次の日にはいつもお腹が痛くなることに気づきました。

そこで、ラーメンが原因かもしれないと考え、しばらくラーメンを食べるのをやめてみることにしました。

Aさんは最近、調子が良かったので、久しぶりにラーメンを食べました。

しかし、ラーメンを食べた後にお腹が痛くなり、やっぱりラーメンが腹痛の原因だと考えました。

インターネットで調べたところ、過敏性腸症候群では、ラーメンだけでなく、小麦を使った食品で、腸の調子が悪くなることがあると書かれていました。

そのため、Aさんはラーメンだけでなく、パンや麺類も食べるのをやめてしまい、食事があまり楽しめなくなってしまいました。

予防策を取ること自体が悪いわけではありません。

Aさんの場合、ラーメンを食べるとお腹が痛くなることがわかり、ラーメンをやめた結果、実際にお腹の痛みを避けることができたのは良いことです。

しかし、その予防策がうまくいったことで、ラーメンだけでなく、小麦やその他の食べ物も制限することになり、食事が楽しめなくなってしまったのは残念です。

以前、低FODMAP(フォドマップ)食でお話ししたように、自分に合った食事を見つけること自体は悪くありません。

ただし、Aさんのように制限が増えてしまうと、症状が良くなっても生活の質が下がってしまうことがあります。

では、どうやって自分に合った予防法を見つけながら、生活の質を保つことができるのでしょうか?

次回は、予防策と生活の質のバランスについてお話しします。


イラスト:イラストAC-カフェラテさんのイラストもしくはそのイラストを使って菊池が作成

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集英社新書プラス-知の水先案内人で【脳腸相関】の連載をしています。主に第10回および第11回が、過敏性腸症候群についてです。


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