不安の二面性と過敏性腸症候群

過敏性腸症候群(IBS)と不安

過敏性腸症候群(IBS)と不安は切っても切れない関係です。

症状そのものへの不安に始まり、いつまで続くのかという将来への不安や、他の病気かもしれないという不安、排便に伴う失敗への不安など多くの不安を生み出します。

心理学辞典などによれば、不安は『日常生活の中で、漠然とした特定できない曖昧な脅威を察知したときに、自我の危機としてだれもが経験する心的反応であり、不確定性と無力感を伴う心理的状態である』と定義されています。

『だれもが経験する』と定義されているように、不安というのは決して珍しいことではありません。

また、不安は上手く付き合うことができれば必ずしも厄介なだけの存在でもありません。

   

不安と付き合う

例えば、地震に対する不安というのは日本にいる限りはなかなか0にはならないと思います。

というのも生きているうちにいつか被災する可能性が0にはならないからです。

もう少し身近なところでは交通事故に対する不安というのも0にすることは難しいものがあります。

実際、一生の内で交通事故による死傷の可能性は三-四割に上るという計算もあります。

このような地震や事故について不安が0にならないからと言って常に防災袋を持ち歩いたり、事故にあうのが怖いから道路は歩かない、車などには乗らないという生活を送るのはなかなか困難です。

  

このため、大多数の方は大きな地震があったというニュースを見たり、防災の日には実際に被災していなくても非常袋の中身を見直したり、乾電池を買い直したりされているのではないでしょうか?

また、事故に関しても同様に、後ろから車やバイクの音が聞こえたら少し道の端に寄る、極端に言えば赤信号を渡らないというのも不安が上手く作用した結果ではないでしょうか?

  

このように不安が多少なりともあるため、日常生活に支障がない程度に何らかの対策や準備を行うということは意外に多いのではないかと感じています。

  

IBSと確率  

話をIBSに戻します。

例えば下痢型IBSの方がトイレがすぐにないかもしれないところでお腹が痛くなることに対する不安を抱えているとします。

しかし、出先で突然お腹が痛くなったり、トイレがなかなか見つからないというのはIBSの人に限らず『だれでも』起こりうることです。

このような場合、IBSの方とそうでない方の大きな違いは実際にお腹が痛くなる確率です。

しかし、不安はこの確率を必要以上に大きく見積もらせてしまう可能性があります。

本来1割の確率で起こる起こることが、9割起こるだろうと予想したらどのような行動に出るでしょうか?

外出先でお腹が痛くなるのは必須だと思ったら、外出自体が憂うつに思えてしまうかもしれません。

 

IBSに対する認知行動療法ではこのように不安から確率を高く見積もりすぎ、それが日常生活に支障を及ぼしている場合は、その見積もりを少し本来の確率に修正するお手伝いをさせていただいております。

  

もし、ご興味がある場合は中央事務局までお問い合わせいただければ幸いです。


素材

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過敏性腸症候群すっきりプロジェクト

過敏性腸症候群に対する非薬物治療の臨床試験に関する情報提供のためのサイト