心のトレーニングと認知行動療法

カウンセリングと心理療法の違い

心理療法と聞くとどのようなイメージを持つでしょうか?

対話を通じた治療という点からカウンセリングと同じような物とイメージされる方も少なくないと思います。

実際、現在日本で行われているカウンセリングと心理療法は重なっている部分も大きく、切り離して説明することは難しくなっています。

 

ただし、従来の成り立ちを考えると両者は同一視できません。

例えば、心理療法はうつ病や統合失調症や神経症などの治療目的から始まったため主な目的は問題を解決することにあります。

一方、カウンセリングは職業訓練から始まっており、主な目的は自己成長により問題が解消されることを目指します。

  

非常に極端に例えると、例えば特に健康に問題がないけれどやせたい(体重を10kg落としたい)**と考えた時、問題を解決する(=体重を何とかして落とす)方法と問題を消失させる(=今のままの自分を受け入れる)方法があります。

前者が心理療法、後者がカウンセリングといった形になります。

  

**注意:例えば糖尿病や関節症などで医師からやせる必要があるといわれても、今のままの自分を受けれるという言い訳のもとにダイエットしないのは自己成長ではありません。  

心理療法:認知行動療法と心のトレーニング

体重を減らしたい場合にもいくつかの方法(eg.間食を辞める、1日のカロリーを下げる食事にする、運動をする)があるように、心理療法の一つである認知行動療法にもいくつかの「方法」があります。

ダイエットは一つの方法で上手くいくこともあれば、いくつかの方法を組み合わせて初めて上手くいくこともあります。

認知行動療法ではこの「方法」をスキルと呼び、IBSに対する認知行動療法ではいくつかのスキルを使いながら、時にスキルを組み合わせながら症状の改善を目指します。

   

もう一点、ダイエットと認知行動療法が似ている点があります。

実際に本人が実行する必要があるという点です。

 

たとえば、やせたいと言ってジムに入会しただけで体重が10kg減るでしょうか?筋肉がつくでしょうか?

 

残念ながら例え高額な入会金を払っても、体重を減らすことはできませんし、筋肉もつきません。

体重を減らし、筋肉をつけるには実際にジムに通い、トレーナーに従ってもしくは自分で自主的に運動を行ったり、トレーナーが組んでくれた食事を忠実に守る必要があります。

トレーナーは無理な設定をしてむしろリバウンドで体重が増えてしまったり、身体が壊れてしまわないために目標の設定を助けたり、時にアドバイスをくれますが、代わりにダイエットしてくれることはありません。 

認知行動療法も同じで、治療者のもとに通うだけでは改善しません。

体の筋肉同様、心の筋肉も継続したトレーニングが必要になります。

 

しかし、例え自分で決めた目標でも、なかなか実行できなかったり、忙しさを言い訳に次の受診まで何もできないこともあるかもしれません。

スッキリプロジェクトはIBSに対する認知行動療法ですが、集団療法とすることで、一人ではなく一緒に行う仲間を作ることができるようになっています。

そういった点でも、ジムと似ているかもしれません。

目標を目指して一人黙々とこなすのが好きな人もいれば、多少目標は異なるけれど、仲間がいるところでワイワイやるほうが性に合っている人もいます。

治療者はトレーナーになります。

治療者が代わりにトレーニングをすることはできませんが、一緒により自分に合った目標や効率の良い進め方を探していくことはできます。

 

一人ではなく支えてくれる仲間と一緒に心理療法という名の心の筋肉トレーニングを試してみたいという方は、ぜひ事務局までお問い合わせいただければ幸いです。


素材

写真AC クリエイター:coji_coji_acさん

写真AC クリエイター:akizouさん

過敏性腸症候群すっきりプロジェクト

過敏性腸症候群に対する非薬物治療の臨床試験に関する情報提供のためのサイト